CEDECまとめ

しばらく音沙汰がなかったのでここらで自分の聞いた範囲をまとめておきます。

まず携帯周りについて。携帯ゲーム産業は割と大きいです。国内コンシューマがハードウェア含めて約5000億なのに比べて、モバイルゲームは600億となっています。まさか1割を超えてるとは思ってませんでした。なんと着うたよりも大きいです。そういうわけで、上の人から見てもそんなに悪い市場という印象をもたれることは少ないんじゃないでしょうか。
実際に開発するとなると、もっぱらJavaになるようで、Flashはまだスペック的に厳しいということです。携帯でのFlashゲームについてのセッションがあったのですが、簡単なゲームにしか向いてませんの一点張りで、有用な情報が得られませんでした。しかし、将来的にGPUが搭載されるというのは流れとして来ているとは思います。国内にいつ入ってくるかわかりませんが、ATIのImageon 238xの実機デモでVGAグリグリだったので、いついじれる日が来るのかなぁと期待させてくれます。携帯から従来型のテンキーボタンがほぼ消えて、画面の占める割合が80%ぐらいになってタッチパネルがつけば、携帯ゲーム機といい勝負になるのでは。いまさらテンキーとしてあのボタンを使う機会はあまりないわけだし、文字入力用の省スペースなインターフェイスが開発されればあの無駄なスペースは減ると思うんですけどね。あとはバッテリー問題?
なかなか興味深いと思ったのは、コンシューマと連動した企画をやろうとするケース。テイルズがモバイル展開しているわけですが、そのときに気をつけた点が、特定機種でしか動かないゲームなのだから、本編に影響が出ないようにする必要がある。というところでした。いわれてみれば確かに。携帯片手に据え置き型のゲーム機っていうシチュエーションは容易に想像できます。ただ、これも携帯電話である必然性が残念ながらなくて、据え置きでも携帯でも、コンシューマゲーム機にネットワーク機能が備わってくる方向性にあるので、そっちとの勝負になる可能性があります。そこを生き延びる鍵はやっぱり携帯であること。電車でゲーム機いじるのには抵抗がある人でも携帯ならいじりますからね。

次はツール、UIネタ。ツールは海外の強力なソフトハウスミドルウェアを提供する一方、国内でも各社がガリガリとインハウスのツールを作っているようです(インプレスの記事ファミ通の記事)。Anarkのセッションでは権利関係がガチガチらしく、具体的にどんなタイトルで使っているかの話はなかったんですが、その辺は実際使っている人から話をちらほら。こう見てると、ゲーム会社に入ったプログラマがゲームプログラマかというと一概にそうは言えないということが分かってきました。そしてVistaでツールを作るとしたら直撃はしなくてもGrazeぐらいしそうなWindows Presentation Foundationですが、ワークショップを受けてそこそこ理解できました。今までのVBなりC#が挑戦してきたUIとコードの分離がようやく文字通りXAMLとManaged Languageという形で分離されようとしているという言い方でいいんでしょうか。でもってUI側の記述力が増してます。詳しくはこのへんの技術資料を参考で。もちろんXAMLを直接書くってことはなくて、Expressionを使うわけですが、これと実装コード側の連携がどれだけうまくいくかが気になります。

そしてmiscネタ。まずDirectX10。普通にジオメトリシェーダなりストリームアウトの宣伝でした。DirectX10が動くハードウェアがいつ出るのかという質問を受けてnVidiaやMSの社員が回答に困るような風景が。今回のCEDECで常に思ってた疑問に、なぜ日本のゲーム開発者がDirectX10の話を聞いているのかというのがあるんですが、その謎は解けず。必要ないと思うんだけどなぁ……趣味ってことで片付けておきます。次世代機についてはさすがに触れる機会もないのでほとんどセッション受講してませんでしたが、Cellだけ聞きました。PCでプログラミングしてる身としてはSIMD部分は参考になりそうでした。マルチコアへの流れは誰もが認めるところなので今のうちSIMDやっとくとそれなりによさそうです。あとレイトレ熱がふつふつ。

ほかにも割とネタ扱いされている2つのセッションがありました。自分は見たいセッションがかぶってていけなかったんですが……。1つはニトロプラスさんのヒット作を生み出すグラフィッカーになるために 〜全てのグラフィッカーと,その上司に捧ぐ〜。デモベを例に、いかにしてグラフィックの質を上げるかという話ですが、後日DLのプレゼン資料や、Webの記事をみた感じだと、割とおもしろそうでした。絵描きじゃないので実感わきませんが、コスト配分をするなどといったところは実際の開発現場では確かに必要だと思います。そしてもう1つはいわゆる萌え研究者やアルケミストさんのわが国におけるPCゲームの現状と今後の展望 〜恋愛SLG市場の成熟と家庭用ゲーム機への移植を中心に〜。こっちはすごく普通の萌え研究ばっかりで聞き飽きてるかなぁ……って聞いてないけど。同人的にはそんなセッションよりも最終日に唯一受講した基調講演マイクロソフトが提供するゲームプラットフォームの世界のほうが笑えました(失礼な!)。ポイントポイントを突っつくのは恐縮ですが、記事を引用&ツッコミすると、

  • まず泉水氏は,やや概念的と断ったうえで,現在の家庭用ゲーム機市場を「閉ざされた世界」と表現する。
    • 現在の同人ゲーム市場は「開かれた世界」だと思う。
  • また,コンテンツの配信に関しても,商用サイトなどが行ってはいるが,必ずしも体系立って行われてはおらず,コンテンツ配信者間のコミュニティもほとんど存在しないと指摘。
    • 少なくとも年二回ありますが。オフラインに勝るものなし。
  • ことによると,フリーウェアやシェアウェア,同人ソフトがいきなりPCとXbox 360で同時リリースといったようなことになっていく可能性を秘めている。
    • どーだろ。PCでできるのに360で出すメリットは?そしてそのためにどれだけのプログラマがManaged Languageを選択するか。
  • 4Gamer読者でもこういったゲームをプレイしている人はいると思われるが,そのなかに佳作,傑作は少なくない。
    • うんうん。
  • 将来的にメーカーと個人(あるいはサークル)による“直接的なシェア争い”や,コラボレーションなどが頻繁に起こってくるかもしれない。
    • 同人と商業の境界
  • ……まあ,予算のかかる超大作を除けば,という話にはなるだろうが。
    • ……

P.S.
80%ぐらい書いたときにFirefox死んで心臓止まりかけたんですが、はてなのバックアップ機能に助けられました。ありがとう!